公的年金「5兆円の損失」に騙されるな! 年金の株式への投資は間違ってはいない!

新旧ポートフォリオ
<出典 : http://www.nikkei.com/article/DGKKZO05865440Z00C16A8PPE000/>

2016年7月末、年金積立金管理運用独立行政法人(以下 GPIF)が公表した15年度決算は、5.3兆円の赤字だったということです。

5.3兆円と言われると、想像もつかないような天文学的な数字に聞こえ、私たちの年金は大丈夫なのか、と心配している方もいるかもしれません。

上図のように、GPIFは2014年11月、資産配分比率を決める基本ポートフォリオを変え、これまでの国内債券中心の運用から、国内外の株式の比率を一気に50%まで引き上げました。

近年国内債券の利回りが低下し、これまでの運用ポートフォリオでは目標としている運用利回りを確保するのが難しくなったことが理由ですが、確かに株式の比率を高めたことで15年度の運用損失が膨らんだことは事実でしょう。

民進党を中心とする野党は早速、「第2の消えた年金問題」、「安倍政権が株価を釣り上げるために年金を株式に突っ込んだ」、「年金をギャンブルに使った」、などという批判をしていますが、果たして本当にそうでしょうか?

年金運用は長期で見ることが重要!

GPIF 長期運用利回り
<出典 : http://www.nikkei.com/article/DGKKZO05865440Z00C16A8PPE000/>

まず基本的に公的年金などの運用は、長期の視点で見ることが重要です。

上図は、2001年度から2015年度までのGPIFによる運用成績を表したものです。

2015年度は3.8%の運用損がでていますが、2011年度から2014年度までの4年間はすべて黒字です。

そして、2001年度から2015年度までの15年間で、年平均2.71%の利回りを確保してきていることが分かります。

このように、GPIFは長期的に見ればしっかりと利益を積み上げてきており、単年度の成績だけを切り取って運用成績を批判することは見当違いである、ということをまずは理解しておかなければいけません。

今回の報道を見ても、「5兆円の損失」といったように、5兆円という数字だけが一人歩きしている印象を受けますが、GPIFの運用資産は138兆円あり、5兆円というのは運用資産全体の4%弱に過ぎません。

単年度で4%の損失というのは、長期運用の世界では当たり前のように有り得る数値で、それをあたかも大損して年金が支払われなくなるような言い方をする一部メディアや民進党には呆れてしまいます。

新しいポートフォリオは安全かつ効率的!

では今までしっかり利益を出してきたのなら、わざわざリスクを取って株式の比率を高めたポートフォリオにしなくても良かったのでは、という意見も出てくるかもしれません。

ただ、以前に書いた「GPIFが検討する日本株投資拡大への期待」という記事でも述べましたが、国内債券中心の今までのポートフォリオはやや弱気すぎたと思っています。

新旧ポートフォリオ別利回り
<出典 : http://www.nikkei.com/article/DGKKZO05865440Z00C16A8PPE000/>

上図は、1987年度から、新旧ポートフォリオの2パターンで運用した場合の資産増加率を示しています。

新しいポートフォリオのほうが上下の波は激しいものの、結果的には資産の増加率が高くなっているのが分かります。

結果論だと思われるかもしれませんが、債券に比べて株式の方が期待リターンは高く、長期的に見れば債券中心の運用よりも資産が増えているのは当然といえば当然です。

旧ポートフォリオのような債券偏重の運用が悪いとはいいませんが、視点を変えれば、リスクを必要以上に意識しすぎるあまり、取るべき利益を取ってこなかった運用であるとも言えるのです。

しかも現在は国内債券の利回りが大幅に低下しており、旧ポートフォリオでは期待する利回りを確保することはできません。

それに比べ、新ポートフォリオの株式の比率50%というのは、リスクとリターンのバランスを考えてもちょうど良い線を行っているのではないかと思っています。

GPIFには今後も年金財政の安定化のために、安全かつ効率的な運用をしていって欲しいと期待しています。



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